歌いながら聴きながら浜辺をスロージョグする爺さんのブログ

ジョグりながら一人カラオケそして飽くほどに聴くアルバムはジャズをメインにPOPS、J-POP、クラシックなんでもかんでも!v^O^v!

やはり気になる大野耐一「トヨタ生産方式」


さて、昭和53年3月に書かれた大野耐一の『トヨタ生産方式』(ダイヤモンド社
を本棚から引張り出して読んで見た。


この本は、以前プレスの現場で金型のシングル段取りに取り組んで
いたときに買ったものだ。


まえがきに於いて大野は「・・・まして、いわゆる”下請イジメ”
により親企業が業績を上げるというような意図はトヨタ生産方式
考え方と全く相容れないものです。」と明言している。


さらに「・・・世の中のことはすべて歴史が立証すると確信する
からです。」とまえがきを締めくくっている。


ここで明らかなように、大野は少なくともこの本を著した時点では
純粋な<術>としての生産方式というものが、下請けやすべての従
業員(臨時工も含む)の幸福のためのものであることを確信してい
たのである。


生産技術というものの社会性、すなわちどのようにして人間の生活
との関係性をもって語られなければならないかという問題に関して
は、この本の表面的な文言からは直接読取ることはできない。


しかしながら以下の内容において現在起こっている状況を言い当て
かつきわめて今日的な警鐘を鳴らすことで充分に言及しているので
はないだろうか。


「・・・五パーセント以上のマクロ経済の成長は、不況どころか好
況に属するのではないか。三〜五パーセントの成長率がむしろ常態
であり、ゼロ成長またはマイナス成長も今後、一定の周期を経てや
ってくることを覚悟しなければならないであろう。」


オイルショック後の低成長にともなう生産量の減少にいかに対応で
きるかを目指して鍛え抜かれた鋼鉄のような「トヨタ生産方式」は
大野の決死の覚悟の結晶であった。


大野はまた、豊田一族によって構築された企業文化に関して次のよ
うに言及することで、暗に生産技術の社会性というものを詳らかに
示しているような気がするのである。


「・・・佐吉翁から喜一郎氏へ、さらに私どもの時代へ、企業の内
外の大きな条件変化の中で、トヨタ自身、自己発展を遂げてきた。
このような経過を、弁証法的発展というのではないかと思う」と。


このように「トヨタ生産方式」はその内容において現在においても
少しも黴ることなく燦然と輝いてみえる。


この精神が新しい豊田章男社長の下で新しい命を得て再び我々に、
<おっ!さすがトヨタやっ!>と思わせてくれる日を楽しみに待つ
ことにしよう。


いままでトヨタ社を購入したことはないが、そのときにはきっと買
わせてもらいたいと心から思うだろう。