2年ぶりにかつらぎ町の四郷というお正月の縁起ものの串柿で有名な山里を
訪ねた。
ここを訪れたのには実はもうひとつ目的があった。それは風の音を聞きたか
ったからだ。
この柿の里の少し上のほうに登っていったところに女性の癪の種などを癒し
てくれるという観音様の霊場がある。
そのお寺さんのやはり御神木というのだろうか、大きな銀杏の木があって、
風が吹くと黄葉した木の葉がはらはらと落ちる。
そのとき風は落葉の音を借りて我々に語りかけてくれる。
静かな時間が流れる。
そっとその音に耳を澄ますそんな時間は、なんて贅沢なんだろう。
・・・・・
実はまだもうひとつ楽しみにしていたものがあった。
光り輝く黄葉のくぬぎの林に会いたかったのだが・・・
クヌギ林の光の乱舞に襲われる恍惚を手に入れるには、タイミングが大切だ。
なりより大事なのは光線の角度かな。
逆光のハレーションのなかに黄葉の葉っぱたちが悪魔と天使の戯れを見せる。
そんな瞬間はそうそう訪れるものじゃないらしい。
ことしも以前贈ってもらったような目眩く瞬間には出会うことができなかっ
たけれど、けれどでもかけがえのない夫婦の時間を楽しむことができたこと
に、こころから感謝をささげよう。